前回の音コラムでは、音とは波であり、それが広がっていき、反射することで起きる現象に関してお話をしました。
今回は音の波が伝わっていく方向のお話です。 指向性という言い方をします。
スピーカーの前で音を聴いている時と、スピーカーの後ろで聴いている時では、音の聴こえかたが違うと感じたことはありませんか?
これは音にも方向があるからなんです。
その方向を絞りに絞って、ピンポイントの方向に音を届けるようにしたスピーカー、すなわち超指向性にしたもので、パラメトリックスピーカーというものがあります。
イヤホンやヘッドホンであれば、周りの人を気にせずに自分だけ音楽を楽しむことができますが、こういったものを使えば、イヤホンやヘッドホンほど遮断することはできませんが、音を聴きたい方向のみに届けることが可能です。
商業施設などで、特定の商品コーナーにだけに音を聴かせたい時に使われたりもします。
けんじろうさんもお話しているように、小さな丸い沢山のスピーカーが並んでいますね。
パラメトリックスピーカーは、通常のスピーカーとは違って、超音波を使用することで、可聴域の音波を特定の範囲内に絞ることができる特殊なスピーカーです。
可聴域というのは、人間が聴くことができる音の周波数のことで、このコラム第8回目「きこえない音ってなぁに?」の時にも触れましたね。
「レーザービームのように超音波で音を飛ばす!」なんて表現をされる場合もあります。 (実際にレーザー波、光音響効果を利用した技術も出てきています。)
レーザービームって、なにやら物騒な話ですが(笑)。
でも確かに、特定の場所(離れた場所であっても)に、音、音波、さまざまな波を届けられるのであれば、それを軍事利用に...
なんでも、首里城の火災も指向性エネルギー兵器の...
おっと、ちょっと都市伝説的な方向に...話を戻しましょう(笑)。
スピーカーという音を出す装置から出てくる音に方向があるように、音を拾う装置であるマイクにも指向性があります。
360°いろいろな所で鳴っている音を拾うものだったり、ピンポイントでその方向から鳴っている音を拾うものなど、マイクにも色々な種類があるのです。
大きく3つのタイプ、Omni(無指向性、全指向性)、Cardioid(単一指向性)、Figure 8(双指向性)があります。
普段、みなさんが聴いている録音された音も、それぞれどういう方向に音が広がっているのかを見極め、マイクのセレクトがなされ、さまざまな技術の積み重ねがあり、届けられているものなのだと思います。
といった感じで、インビジ20周年企画SOUNDABOUT名物コーナー「けんじろうの音コラム」第20回目のファイナルは「音の方向」に関してでした。
21年目突入のインビジは、どんな方向にいくのでしょうか? これからのインビジにも乞うご期待ください!