みなさんは、身の回りの音に意識を向けたことはありますか?暮らしの中にはたくさんの音があふれており、わたしたちはそのたくさんの音を耳を通して聴くことによって認識しています。この、わたしたちの耳が感じることができる音の範囲のことを「可聴域」と言います。
しかし、超低周波や超音波など、わたしたちの耳には聴こえない音、つまり「可聴域以外の音」というのも存在するんです。
音は、空気などの媒体が振動することで発生します。 その音が1秒間に何回振動したかを表した数のことを「周波数」と言い、ヘルツ(Hz)という単位で表します。周波数は値が大きいほど高い音を表します。
個人差はありますが、一般的に人間の耳は20Hzから20,000Hzくらいまで聴きとれると言われています。
みなさんはどのくらいの周波数の音まで聴きとることができますか?
※機器によっては再生できない周波数帯域があります
では、ほかの動物の耳には、わたしたちの身の回りの音はどのように聴こえているのでしょうか?
実は、人間とほかの動物では聴き取れる音の周波数の範囲が違うため、ほかの動物はわたしたちとはまったく異なる音を聴いているのです。
例えば、イルカは、人間の7倍以上も高い音(超音波)を聴くことができるとされており、エサ探しや仲間とのコミュニケーションにも超音波を使うそうです。また、コウモリは、視覚が退化しているため目はほとんど見えていませんが、聴覚がたいへん優れているため、自身が超音波を発することでそのこだまを耳で捉え、周囲の状況を把握しているそうです。
動物による可聴域の違いを利用した道具もあります。 例えば、犬の訓練やしつけに使用される犬笛です。
犬の可聴域は65~50,000Hzと言われており、人間よりもさらに高い音を聴くことができます。そのため、犬笛は、あえて犬が聴こえやすい高い周波数の音が鳴るように作られているのです。
それでは、可聴域以外の音はわたしたち人間にどのような影響を与えるのでしょうか?
最近の研究では、音楽などに含まれる「超音波」、つまり人間の可聴域以外の高い周波数の音には、わたしたちが実際に聴こえている音をより心地よく感じさせる効果があるのではないかと期待されています。
一方で、「低周波騒音」のような、わたしたちの耳には聴こえにくい周波数の音による悪影響も懸念されています。工場の大型の機械や車などのエンジン、雷や風などの自然現象からは低周波の音が発生しているのですが、それらの音は、わたしたちの耳にはあまり聴こえていないのにも関わらず、心理的な不快感や体調不良を引き起こす原因になっているとも考えられているのです。
わたしたちは、耳で聴こえない音からもあらゆる影響を受けているのかもしれませんね。
このように、わたしたちの耳には聴こえない音があること、そして聴こえる音の範囲は動物によって異なることを知った上で身の回りの音に意識を向けてみると、今まで気にしていなかったような面白い発見があるかもしれません。
是非、身の回りの音の世界を楽しんでみてくださいね。