光が鏡にあたると反射してキラキラするように、音も反射します。
硬いものにあたった場合、より多く反射しますし、柔らかいものにあたった場合は、あまり反射しなかったりします。
この音コラムの第7回目にとりあげたリバーブも音の反射が関係していますが、今回はより突っ込んだ話をしていきます。
世界遺産「日光東照宮」に行ったことはありますか?
薬師堂に「鳴龍」の間というのがあります。
龍の顔から離れた場所で拍子木をたたくと「カーン、カーン」という音なのですが、龍の顔の下だと「キ〜ン、キ〜ン」と、まるで龍が鳴いているような響きになります。
不思議ですね!
これは音の反射からくるもので、その秘密は天井のつくりにあるようです。
天井が平らな場合、音は一定に反射しますが、鳴龍の間では、中央(龍の顔の近く)に凹みがついていることで不規則に跳ね返るんです。
反響が多い場所で、なおかつ凹凸による条件が揃い、音の波がぶつかり合い、独特の残響が生まれているんですね。
こういった現象のことをフラッターエコーと呼んだりします。
鳴龍の場合は、まるで龍が鳴いているような幻想的な効果を生んでいますが、無駄な反響で悪影響を与えることもあります。
鏡を平行に置くと、像が繰り返し反射して無限に続く像ができるように、壁同士が平行だったり、天井と床で平行面の面積が広い場合、音が反射を繰り返してしまいます。
比較的高い周波数で発生するものをフラッターエコーと呼び、低い周波数で起こる現象を定在波(定常波)と呼んだりしています。
スタジオやコンサートホールなどでは、本来の音楽を最適に聴かせる為に、吸音をしたりして、こういった音響障害をなるべく発生しないように設計します。
低音域の特定の周波数が響きすぎて「ブーン」と音をたててしまう現象をブーミングと呼んだりもします。
不自然に低音が強調され、音の明瞭度が損なわれてしまいます。
手軽にできる対策として、床にカーペットを敷いたり、家具やベッドなどを置いて平行面を減らしていくなど、音響マニアは、そういったことに気をくばり極上のリスニング空間を作ったりしていますが、そこまでこだわらなくても、普段、音楽を聴いている環境を少し整えることで、より快適に音楽を楽しめる空間を作ることができるかもしれませんね。
こういったことに意識してみて音を聴いてみると、また違った発見があるかもしれません。
では、良き音LIFEを!