ハードウェアの面白さを伝えていく企画「ハードやろうぜ!」
前回の
ハードやろうぜ!Vol.1に続いて今回は、明和電機のアシスタントワークを経て、機械にまつわる様々な業務を活動の舞台としているTASKO設計制作部工場長の木村匡孝さんと、同じくTASKO設計制作部の佐藤方紀さんをお招きし、よりフィジカルな方向で、ものづくりに関してSOUNDABOUTしていきます。
ゲスト : 木村匡孝 (TASKO設計制作部工場長)、佐藤方紀 (TASKO設計制作部)
ファシリテーター : CD HATA、髙花謙一
Taskoに在籍していたこともある高花さん
木村さんと高花さんは大学も同じ(大学時代は知り合っていない)
面接時、金髪だった佐藤さんはTaskoの古株
入社当時は会社の床で寝泊りするくらい毎日制作の日々
- CD HATA : つくることに目覚めたきっかけは何ですか?
- 木村 : 大学時代に歩くロボットをつくったんです。
Hondaから
ASIMOが出た時代で、2足歩行は難しいと言われたいた時代だったんですけど、作れちゃったんです(笑)。
工作は昔から好きで、作られたものが、ちゃんと動いて、仕組みも面白くて、これをやり続けたいなと思ったんです。 そこから素材や機械、それにまつわる電気とかを研究することが楽しくて、今に至っています。
- 佐藤 : 自分は車が元々好きで、レースとかをする為に、整備やカスタムをしていたり、機械をいじるのは好きだったんです。
同時に音楽や映像も好きで、ミュージックビデオ用に物を作ったり、ものを作るのは好きだったんです。 当時シェアハウスしていた友人が、Taskoと仕事をしていた人で、紹介してもらい入社しました。
こんなにものが作れてお金ももらえるなんて!と思いましたよ(笑)。
ある意味ブラックな会社でしたが(笑)。
- 木村 : 永遠にボールが出てくる、終わりのないバッティングセンターみたいだったからね(笑)。しかもそれでお金ももらえるみたいな(笑)。
- 佐藤 : こういう打ち方も試してもいいんですか?って永遠とやってる(笑)。
- CD HATA : しかも24時間営業(笑)。
- CD HATA : これ気になったんですけど
- 木村 : ゴムベースですね!
元々、明和電機の作品で、
荷造り用のゴムを弦に使用したベースがあったんですけど、音がすごい良くて、引き心地もいいんですよ。
明和電機が秋葉原のラジオデパートでお店をもっていて、ガレージセールをやるから「Taskoでいらないものあったら売るよ」って話があって、ガラクタをあさっていたら、昔、学校の先生時代に楽器を作るっていうワークショップをやっていた時に、その明和電機のゴムベースみたいな楽器を作るっていうのをやっていて、それが出てきて「これも売れるよ!」って話になって、Taskoでも作りました。
公式サードパーティーなんですけど、廉価版にしようと思ったら、本家でも9,800円という安さで(笑)、それでも徹底的にコストを抑えて980円という価格を実現しました!
安いパーツで組んでるので、おのおの、それを改造してもらうくらいのスタンスで。
今はピックアップをつけて、
1,980円で販売しています。
- CD HATA : エレクトリックゴムベースですね!
- 木村 : 高花さんは、最初の案件で、ひたすら玉が転がるさまを研究してましたよね。
転がり方に、美しいとか楽しいとか、センスが問われるんんですよね。
それをひたすらやっていて「この人は、なかなか根気強いな」と、みんなでみていました。
- 高花 : 転がし方によりますからね。
- CD HATA : 森の木琴もそうですけど、自分と高花さんが初めてやった案件も玉をころがしてましたよね。
- 木村 : 作っている側からすると「もういいだろう〜」って感じなんですけどね(笑)。
- 佐藤 : 見ている側は、作っている側の難しさがわからないですからね。
自分は一回、玉をころがす案件の時に失踪しかけましたもん、玉を転がすのが辛すぎて(笑)。
- CD HATA : インディージョーンズの洞窟の中で転がってくる大玉に追いかけられるみたいな(笑)。
- 佐藤 : そういう夢を見るくらい(笑)。
- 木村 : 物体はちゃんと設計しないと成り立たないからね。
音楽は羨ましいなぁと思います。ライブ的に作ることができるもんね。
- 高花 : 絵を描くのもライブ的にできたりすると思うんですが、物体を作る時というのは、即時性が劣るというか、ちゃんと先を考えていないと作れないですからね。
- 木村 : 見ている側は、できあがって綺麗に動いているものだけを見ているから、ちゃんと動かすまでの苦労がわかりずらい。失踪するくらい大変なのに(笑)。
- 高花 : 玉がレールから落ちないように高い壁とか作れば、それは防げるんだけど、見栄えが良くなかったり、面白くなかったりするんですよ。でも、じゃあ落ちた時はどうするのかっていうのも考えないといけないし。
- 木村 : 設置する場所が変わったり、温度が変わったりすると動かなかったりするしね。
毎回「今回で玉を転がすのは最後にしよう...」って思いながらやってます(笑)。
- 木村 : インビジとは音楽的なことで絡むことが多いんですけど、機械でそれを実現するのは面白いですよね。
Z-Machinesも楽しかったですね!
ハードやろうぜ!Vol.1の堀尾寛太さんも一緒だったんですけど、明和電機でこういうのは作っていたんですが、大きな仕事でしたね。
- 佐藤 : 自分や高花さんの入る前のことですが、いまだにTaskoのトップクラスの成果物ですもんね。
- 高花 : 自分もあれを見てインビジや、Taskoも存在は知っていましたが、あらためて技術力があるなと思いました。
- CD HATA : 自分もすごいなぁと思ってて、ギターもちゃんとフレットを押さえて、ピッキングさせて、じゃないですか!
- 木村 : 最終的にSquarepusherと一緒にやったんですけど、あれがなかったら、究極の技術の追求でしかなくて、音楽ってセンスの部分が多いので「あの機械を使って、これをやりました!」っていう最後のアウトプットができたのは良かったですね!
- 高花 : ロボットだから拡張されている音楽性になっているのが、すごいと思っていて、ロボットに演奏させてるからといって、人間の演奏よりつまらないものになっていないのが凄いと思いますね。
- CD HATA : ロボットが、がんばってる感ありますよね。
- 木村 : 機械でやっている以上、制限はあって、でも、完璧な演奏をさせることもできなくはないと思うんですが、それをやっちゃうと面白くないと思うんですよね。
ある程度、不自由がある中で、せめぎあってやるほうが面白いものになるんだと思います。
- 佐藤 : Z-Machinesは、エアーの供給が弱くなると、人間が疲れてきたみたいに、動きがちょっと鈍くなるとかありますもんね。
- 木村 : 安定しすぎるとつまらない。不安定な部分を維持させながら安定させる。
それはTasko的仕事だと思います。
音声コンテンツでは、19世紀のイギリスの化学者であり調香師であったセプティマス・ピエスにより考案された香りの記述方法「香階」に着目し製作された、香りのオルガン「パフューマリー・オルガン」のことや、音速を超える最強のデバイス「鞭」の話など、まだまだ楽しい話が収録されています。 是非、上のリンクから視聴してみて下さい!