普段、音楽や音を創っている人も多くいらっしゃるかと思います。
創る前の段階、音を聴くということに関してから、音楽家であるとともに「音」に精通したプログラマーとしてもその名を知られる『Katsuhiro Chiba』さんと共にSOUNDABOUTしていきます。
もちろんその先のアウトプットに関しても響き合っていこうと思います。
ゲスト:Katsuhiro Chiba
ファシリテーター:CD HATA、松尾謙二郎、小田部剛
サウンドデザイナーです。音響音楽演出やプログラムなど、トータルでやっています。
もともと音楽(楽曲)を作るところを重点的にやってましたが、最近は展示もの(インスタレーションなど)のサウンド演出の割合も増えています。
子供の頃、コンピューターに興味を持ったのが先でした。パソコンから音を出すのが好きで、今に至る感じです。
中学や高校のころ、パソコンで音を出すというとファミコンみたいな音で、いまだとチップチューンとか言われますけど、FM音源が搭載されるようになって本当にびっくりしたんです。シンセ、鍵盤がついたものの前に、そこからハマっていった感じです。
当時音楽では、YMO、というか特に坂本龍一さんにハマりました。でも、大雑把に言って電子音(シンセ)が鳴ってる音楽が聴きたかったんです。TMネットワークとかもこれすごい電子音鳴ってんじゃん、とか。
やっぱりFM音源の硬い音が好きですね。クリアーでかっちかちの。そぎ落とされてシンプル化された音。
でも、掘り下げていくうちに、アナログもいいなと思うようになりました。やっぱり滑らかですね。
FM音源というのは、わかりやすく説明するの難しいですが、フリケンシー(周波数)を変調することで音を作るということ。オペレーター(オシレータのようなユニット)をいくつか組み合わせ、あるオペレーターを別のオペレーターを変調することで、複雑な音を作ります。
YAMAHAのDX7が一斉を風靡して、アナログシンセでは出なかった音が出るっていうので人気が出た。パソコンの音源にも応用されていきましたね。
リバーブがキモですね。MAXで合成してるんです。ベースはサイン波ですが、リバーブで揺らいだ低音を作ったりします。
普通リバーブというと空間系エフェクトですけど、僕は幅広い使い方をしていて。音に生みたいな存在感を与えたり。
最初に手に入れのはYAMAHAのR100だったと思います。当時びっくりしました。プロみたいなやつだって。SPX90とか古い機材集めたいな、っていう気持ちはあるんですけど、沼ですもんね。近づかないようにしています。
残響の抽象美を追求したもの。残響って説明不要な魅力がありますよね。お風呂の残響で歌いたくなるとか。
(話がそれますが)最近リバーブの新しいアルゴリズムを実験していて。普通リバーブはディレイの組み合わせでできていますが、それとは違う仕組みでリバーブを作る実験をしたんです。
FFT(高速フーリエ変換)を使って単純に全周波数帯が後ろに伸びるようなことをすると、普通にリバーブとして聴こえて、普通に気持ちよかったり。そんなふうに「何がどう良いのか」を分解して追い求めています。
いろいろこだわっていまして、アルバムに関して言うと、ステレオマイキングした状態をシミュレーションしたパンナーを使っています。ハース効果がつくんです。それと自分で作ったリバーブを組み合わせています。音楽が鳴っている空間自体を自分で作ってる感じでものすごく時間をかけています。
やみくもに追求したものって面白いなと思っていて、バカみたいに作り込むことで明後日の方向に出ちゃった、みたいなのが好きなんです。
自分の場合あまり短縮にはならなくて、というのは、可能になったぶんこれも入れなきゃ、あれもやらなきゃとか、結局やることが多くなってしまったりします。
「作ってる」っていうとどこのレベルから作ってるの?って話になっちゃう。きりのない話なので、作ったと言わずデザインというようにしています。
テクノロジー的なこと、バイノーラルとかも研究しているので、それらを使った集大成的なものを作りたいです。