作詞、作曲、編集、リリース、すべてを自宅で行う“宅録”アーティストも数多く誕生している昨今
DTMや宅録が出来るということはミュージシャンにとって最低限のスキルになりつつあるのか?!?
そんなポストデジタル時代に至るまでのそれぞれの体験談
そしてインビジから新たにローンチされるサービスWeRec.に関しても触れていきます。
ゲスト:中村優一、岩田裕大、菊池陽介
ファシリテーター:CD HATA
- 中村 : インビジ創立メンバーの中村です
- 岩田 : インビジ音楽演出の岩田です
- 菊池 : お邪魔します。初になります、菊池です。普段は進行PM周りをやっています
- CD HATA : 司会のCD HATAです。まずはみなさんの宅録馴れ初めから!
- 中村 : ずっとゲームで曲作ってたんですけど、宅録自体はずっと後、仕事始めてからです
- 岩田 : 小学校のときにタイムカプセルに好きなものを埋めるっていうのがあって、カセットに自分へのメッセージと曲を入れましたね。その次は中学校で異動になる英語の先生に別れの自作フォークソングをギターで弾き語りしました。先生がとても喜んでくれて、クラスでみんなに聞かせたんですよ。めっちゃ恥ずかしかったの覚えてます。
- 菊池 : 専門学校入ってからですね。いきなり機材をめっちゃ買いました。
ソフトは
デジタルパフォーマー。 オーディオインターフェースは
MOTUのマークオブユニコーン、896HD。MACKIEの全部で14チャンネルくらいのミキサーを買って、あとギターもベースも。それからラインのTODってのも買ったなぁ。当時ソフトエフェクトも無かったんで、どうやって生っぽく録るのかっていうので。ガチャピンみたいな顔のやつ。
当時はロックしかやりたくないっていう思考で、デジタルパフォーマーで生音ばっかり録ってました
- CD HATA : いきなりハイクオリティで揃えましたねぇ...!
- 菊池 : 学校の先生が安いの買っても結局高いものを買うから高くつくよ、って完全に洗脳されたんですね。「サウンド&レコーディング・マガジン」で、男の120回払いっていうのが出てて。たしか240万円くらい借金したんだと思います。結果、覚えるのは人よりめっちゃ早かった
- 中村 : 機材が足りないから工夫して試行錯誤するっていう時期はなかったんだ
- 岩田 : 僕はカセット録音から、BOSSのBR8っていうZIPディスクに行きました。それで多重録音を知ったってかんじですね。8トラックの範囲でできることを考えてました
- CD HATA : 最近整理をしていて100MBのZIPディスクが50〜60枚どさっと出てきました。けっこうごついんですよね
- 中村 : invisi 入って最初に使ったマイクが、ソニーの漫才マイク(C38-B)だったんですよ。マツケンさんにこのマイク知ってるかー?って言われて、当時はすげーって思ってたんですけど、AKAGEの414に比べると、けっこう音悪いんですよね
- CD HATA : インビジにもスタジオがありますけど、自宅にも録音環境持ってるんですか?
- 岩田 : スピーカーを新調しました。最近の曲ってものすごい低域まで含んでるのが多いので、それをスピーカーでも聴き取りたいなと思って。HEDDのType20けっこうしっかり鳴ります
- 菊池 : 一時期はラックに囲まれて生活してたんですけど、今はディレクターっていうか式進行がメインで、スタジオで確認するってかんじなので、自宅はどんどんミニマムになってます。YAMAHAのヘッドフォンとBabyface ProとAlesisのMIDI鍵盤しかないです
- CD HATA : 3人の新しいプロジェクトを小耳に挟んだんですが
- 中村 : We Rec. (ウィーレック)
です。みんなが録音できるようになるといいな、というところから始まったプロジェクトです。
たとえば、弾き語りとかライブに出演しているけど録音技術がないとか、作品作りたいけど演奏しかできない、っていう人たちにむけて、技術を一緒に覚えて作品作れるようにしようと。今のところ第1期生みたいなかんじでコミュニティを作っている段階です
- CD HATA : どんな人たちが来てるかんじですか?
- 菊池 : 専門学校の生徒さんたちとか、ボーカルとか楽器をやってる子たち、声優の勉強してる子なんかもいます
- CD HATA : コロナ禍で、オーディオインターフェイス機器まわりってほんとに品薄でしたよね
- 中村 : ぜんぜん即納できなかったですね。会社用のBabyface買ったんですけど2ヵ月待ちでした
- 岩田 :
半導体の供給不足なかも影響してますよね。まず気軽に始められるよう機材まわりのセットを用意しています。でも新しい機材がどんどん出てくるので、その都度試してレコメンドするようにしています。AKGのLyraっていうマイクとか。
そもそも録音が好きじゃないとプレイヤーの方ってわからないことだらけだと思うんですよ。これはオーディオインターフェース内蔵なのでUSBで直につなげるんですね。こういう系のマイク最近多いです
- CD HATA : 宅録で注意することってなんかありますか
- 菊池 : 部屋鳴り
- 中村 : インビジ設立当初は事務所がマンションの一室で、ブースがなかったんです。で、録音のときは毛布を頭にかぶってデットの環境を作ってました。
当時はコマーシャルソングの仕事が多かったんで、ボーカルに来てもらうときなんか被ってもらうわけにいかないので、いろんなところに毛布をかけて、普通の部屋でやってました。救急車通ちゃったとか、呼び鈴が鳴ってしまったとか、いろいろトラブルもありました
- 岩田 : いまだに有効ですよね。毛布は
- 菊池 : キックの中に毛布入れたりもね。あのいかにもって柄はなんでなんでしょう
- 岩田 : ぜったいじいちゃんちから持ってきてる
- 菊池 : 卵の紙パックとかで集音ってのもある
- CD HATA : WeRec. でどんなネタが上がってきてます?
- 中村 : プレイヤーの人たち中心なので、例えばコンデンサーマイクとダイナミックマイクの違いとかも知らなかったりするので、基本的なことを教えるところからです
- CD HATA : 録音段階で重要なことってなんでしょう
- 中村 : マイキングでポップガードつけることとか。針金ハンガーにストッキングまきつけたりしてましたよね。岡崎体育さんとかやってました
- 岩田 : アナログのときってひどかったですよね。テープって何回も使えるからJ-Popのアルバム作って全消した後に自分の声とかいれたら、裏にうっすらKinKi Kids流れてるとか
- CD HATA : アナログだと隣の音がうっすら入っちゃったり。テープが伸びちゃってテンポがゆっくりになったり
- 岩田 : テープ巻き伸ばしたら切れちゃったり
- CD HATA : WeRec. 今後の予定は
- 中村:参加者のみんなが録音できるようになることを目指します。
ゆくゆくは実際に仕事で行なっている録音を頼めるようになりたいんですよね 参加はHPから簡単に手続きできます
- 岩田つながったなかで一緒にレコーディングしていけるようになるといいなって、機材面などの知識もあげて、遠隔収録のテストとかもできるようにしたいですね
- CD HATA : WeRecer たちが今後育っていくのが楽しみですね!