ステレオフォニック
ステレオフォニック(stereophonic)の略称である「ステレオ」という言葉 皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
ステレオとは、左右2台のスピーカーで音を再生する方式のことを言います。 これにより単純な1ch再生のモノラルと比べ、より立体的な音響を組み立てることが可能となります。
世界で初めてステレオが登場したのは1881年
クレマン・アニェス・アデールさんというフランスの発明家が発表した2チャンネル音響転送システムが始まりでした。これはオペラ座からパリ電気博覧会会場まで電話通信装置をつなぎ、オペラ座の公演の音声をリアルタイムで転送して聞かせるシステムとなっており、これを聞いたサイエンティフィック・アメリカン誌の記者は「この現象は非常に奇妙である。それは双聴覚的音響の理論の近似であり、我々の知る限り、これまでになかったものである。この驚嘆すべきイリュージョンは立体音響の名にふさわしいかもしれない」
と綴ったそうで、当時モノラル(1ch音声再生の方式)しか存在しなかった時代の人々にとってはとても立体感や臨場感のある体験だったに違いありません。 (引用:wikipedia)
さらにステレオは、音の再生以外でも我々人間を含めた"左右2つの耳"を持つ動物が空間的認知を可能にする非常に大切な物理法則です。
音は、基本的には点音源と呼ばれ、ある空間内の特定の点(場所)から発せられます。その位置が、聞いている人の前方右側にあった場合、右耳に届く音と左耳に届く音の到着のタイミングが少しずれます。(図参照) この到着の時間差を人の脳は計算し、その音を発した物体への距離や方向感を感覚として知ることができます。
こういった仕組みを応用して、身近なところでは5.1chサラウンド、バイノーラル、ドルビーアトモスなど、2つのスピーカーから飛び出した「立体音響技術」が発達してきました。 主にエンターテインメントの中で発達してきたこの技術は、今後さらにインフラやIT技術の中に入り込み、人の認知を拡張してくれるテクノロジーとして、我々の生活をより便利で豊かなものにしてくれることでしょう。
さて、いかがでしたでしょうか? 目に見えない音は、重要な部分で我々の生活をサポートしてくれる縁の下の力持ちのような存在であること、ふんわり理解していただけたら幸いです。
次回の音コラムもお楽しみに!!