みなさんは、「シンセサイザー」と聞いてどのような楽器を思い浮かべますか?
名前を聞いたことはあるけれど、どんな楽器なのかはよくわからない、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の音コラムでは、わたしたちが普段耳にする音楽の中でも大活躍している「シンセサイザー」についてご紹介します。
シンセサイザーについての理解を深めることで、普段聴く音楽もより面白く聴こえてくると思います!
あまり聞き慣れない言葉がたくさん出てくるかもしれませんが、是非最後まで読んでみてくださいね。
シンセサイザーとは、「電子回路を使って音を合成する楽器」のことです。
「合成する」という意味の英語「synthesize(シンセサイズ)」が語源となっています。
シンセサイザーは、実在する楽器のような音から自然界には存在しない音まであらゆる音作りができるため、演奏や音楽制作において非常に重宝されています。
エレクトリックピアノやエレキギターなどのような、楽器そのもののアコースティックな振動を電気回路を利用することで音を出力する楽器のことを「電気楽器」と呼ぶのに対し、
シンセサイザーは、音を発生させる段階から電気信号を利用し、それを音に変換して出力するため「電子楽器」と呼ばれています。
「シンセサイザー」と聞いて具体的なイメージを描くのが難しいのには理由があります。
それは、シンセサイザーにはさまざまな種類があるからです。
◆アナログシンセサイザー
さて、シンセサイザーはどのようにして生まれたのでしょうか。
シンセサイザーは、100年以上にも及ぶ電子楽器の長い歴史の中、世界中のあちらこちらで試行錯誤を繰り返し、
技術が蓄積されたり概念が構築されたりしながら発展してきた楽器だと言われています。
早速、シンセサイザーの歴史を時系列順に覗いてみましょう。
シンセサイザーの原点
シンセサイザーの原点であると言われているのが、「テルミン」と呼ばれる世界初の電子楽器です。
テルミンは、空間中の手の位置によって電気信号の周波数を調整することで「音の高さ」と「音量」の2つの要素をコントロールすることができる電子楽器で、
1920年にロシアの発明家レフ・セルゲーエヴィチ・テルミンさんによって発明されました。
ポリフォニック・シンセサイザーの誕生
1937年には、単音しか奏でられない「モノフォニック・シンセサイザー」に対し、
和音を奏でることができる「ポリフォニック・シンセサイザー」が、ドイツのハラルト・ボーデさんによって発明されました。
この発明は、その後のアナログシンセサイザーの発展に大きな影響を与えました。
コンピュータ・ミュージックの誕生
1951年には、数学者であるアラン・チューリングさんたちによってコンピュータを使った音楽が世界で初めて演奏されました。
デジタルシンセサイザーの元祖であると言われています。
「シンセサイザー」の命名
1956年には、RCAプリンストン研究所の ハリー・オルソンさんとハーバード・ベラーさんがRCA マークII サウンド・シンセサイザー」という真空管製のコンピュータ用音源を開発しました。
これが世界で初めて「シンセサイザー」という言葉が使用された瞬間です。
このとき発明されたシンセサイザーは、アナログシンセサイザーの要素をすべて網羅していたと言われています。
モジュラー・シンセサイザーの登場
1960年代になると、ハラルト・ボーデさんによるアイデアをもとに、ロバート・モーグ(Robert Moog)さんと、ドン・ブックラ(Don Buchla)さんがモジュラー・シンセサイザーを発展させました。
モジュラー・シンセサイザーとは、たくさんの個別のモジュールによって構成されるシンセサイザーのことです。
アナログシンセサイザーの発展
1960~70年代には、世界中でロック系の音楽が大流行し、演奏中に使用されていたアナログシンセサイザーは一気に普及しました。
MIDI規格の誕生
1981年に、複数の電子楽器を連動し演奏・操作ができるようにMIDI規格が誕生しました。
従来は各メーカー毎に異なる制御方法を使用していたため、MIDI規格の導入によって機器同士の相互接続が一気に容易になりました。
ソフトウェア・シンセサイザーの誕生
1990年代にはソフトウェア音源が盛んに使用されるようになり、コンピュータミュージックもますます発展していきました。
その後も、シンセサイザーは音楽制作の場において積極的に使用されるようになり、さまざまな音作りの面で活躍しています。
このように、シンセサイザーには非常に長い歴史があるのです。
そろそろみなさんも「実際にシンセサイザーで音を出してみたい!」と思っていらっしゃる頃なのではないでしょうか。
Webブラウザでシンセサイザーの音作りを学ぶことができる、Ableton社の「Learning Synths」というWebサイトをご紹介します。
このWebサイトでは、ブラウザーで実際にシンセサイザーを操作しながら、音作りの仕組みについて学ぶことができます。
「Learning Synths」
シンセサイザーの操作に関わる項目をひとつずつチュートリアル形式で学べるので、これからシンセやDTMを始めたい!と思っている方にぴったりなコンテンツです。
仕組みが理解できるととっても楽しくて面白いシンセサイザー。
みなさんも是非試してみてくださいね!